per se 研究会

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矯正施設献立および栄養計算結果公開にあたって

矯正施設における食生活を含む健康管理がどのように行われているかについての実態報告は少なく、実態は明らかではありません。このような中で、矯正施設に入所中の被収容者における糖尿病・高血圧などの生活習慣病に対して、食事療法や健康習慣の教育を導入することにより、画期的な治療効果の得られることが明らかになりました。そして、被収容者の中には、低タンパク質血症や貧血などの低栄養状態に加え、ビタミンB1やミネラルの潜在的欠乏症の可能性も指摘し、これらの背景には被収容者の入所前の社会における健康習慣の欠如、病識の低さの関与の可能性が考えられました。
矯正施設に収容された後の被収容者らの栄養管理については、もちろん給与食糧が基本と考えられます。そこで本研究会では、まず、現状での矯正施設における給与食糧の栄養学的検討をはじめました。賛同の得られた日本全国の刑務所、医療刑務所、拘置所、少年院あわせて11施設の2003年10月1日〜10日までの10日間の献立表をもとに、各種栄養素給与量ならびに食品群別栄養素給与量を算出しました。その結果、法務省矯正局の指導に基づいて定められた各項目について、すべての施設がクリアしていたばかりか、非常にバランスのよい内容であることが明らかとなりました。これは、収容者らの生活習慣病が入所中に著しく改善することのひとつの要因ではないか、と考えられます。一方、問題点としては、塩分量が高いことが挙げられます。給与量と、実際の摂取量との間には、当然、開きがあるには事実ですが、今回の結果から、施設間でかなり開きのあることが浮き彫りになりました。これは、収容人員の多い大きな施設においては、調理から配膳にかける時間的な問題もあり、献立の一部に調理済み製品を盛り合わせることなどの問題も考慮されます。
今回、この矯正施設の栄養計算結果をすべて明らかにし、今後、各矯正施設の担当者らが、本献立表と栄養計算結果を参考に、各施設の献立作成の一助にして頂ければ幸いです。
また、家庭や一般病院においても、参考にご利用くだされば幸いです。また、これらの給与献立のなかでの工夫により、生活習慣病が改善された実績にかんがみ、会員各位のご協力により、各施設の献立および栄養計算結果を公開させていただくことにいたしました。
まず、施設ごとの献立の栄養学的評価についても、簡単に記してみました。このコメントを参考に、献立表をご覧ください。ただし、コメントは10日間の計算結果をもとに作成していますので、1日ごとの献立表の計算結果とは、必ずしも一致しない場合もあります。どうぞ、皆様が大いにこの結果を活用されることを期待しておりますとともに、高齢社会に突入した今、また、食生活を中心とした生活習慣の乱れからの生活習慣病激増、医療費の枯渇の真っ直中にあって、社会予防医学的見地から、皆様の忌憚のないご意見を賜りたくお願いいたします。


                                          
            池川雅哉

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