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【海のミネラル−ひとの羊水としての海水−】
タケダライフサイエンスリサーチセンター・疾病予防センター所長 木村 美恵子 先生
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海のミネラルと健康 〜その2〜 |
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食品には、現在の科学レベルでは、栄養素としてその必須性が明らかにされていない成分も沢山含まれています。
生き物である食品は、われわれの身体・生体も、未知の栄養素を含む包括的栄養環境を備えています。
生き物の栄養の原点・有機物は、言うまでもなく、植物が土壌から吸い上げる水とミネラル、及び太陽光線から造られます。
この有機物があって、初めて、われわれ動物の生命が育まれます。水がすべての生命の根源であること、そして、その生命の泉のもとは水に豊富に含まれる栄養素・ミネラルであることを改めて考えさせられます。
地上水のミネラル組成は地域により大きく異なりますが、海水のミネラル組成は一定で、約85種類みつけられています。
そして、図にお示ししますように、海水中ミネラル濃度分布はヒトの体液(血清)中ミネラルバランスと正の相関関係がみられます。
種の起源は海水からといわれているように、私たち人間の羊水はやはり海の水でしょう。私たちが産まれる前にお母さんのお腹の中で羊水に浮かんで暮らしているわけです。
生まれてきて初めて水の中から出てくる。種(細胞)の起源は海水にあり、海水がだんだん濃縮され、即ち体液より濃度が高くなり(今では血清濃度の約4倍)、生き物は海水中では生きにくくなり、鯉ができ、肺ができて、陸に上がったと考えられています。
やはり、海の水というのは、本来私たちの生きる源ではないでしょうか。陸で何かを育てようとするとたくさんの肥料が必要ですが、海では窒素あり炭素あり、そして多くの微量元素があって、
肥料をあたえなくても、自然の中でどんどん植物も動物も生育できます。石油資源の時代20世紀は多くの問題点を残しました。
新しい資源のない21世紀、今、資源として、命の水「海水」を見直すことが大変重要でしょう。 |
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(「Ship & Ocean Newsletter No.66」より) |
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