|
【骨の健康とミネラル】
京都大学大学院医学研究科教授(整形外科学) 中村 孝志 先生
|
骨の健康とミネラル 〜その1〜 |
|
骨には大きく分けて二つの働きがあります。一つは体内のカルシウム濃度を一定に保つこと。もう一つは身体の構造を維持することです。
生体の骨はたくさんの血液を使って、常に作り替えられながら保持されています。骨はこの代謝を繰り返す細胞と構造を維持する基質(マトリックス)から成ります。
骨細胞をもう少し詳しく見ると、コラーゲンをはじめ、骨たんぱくを盛んに作る「骨芽細胞」、それが石灰化して骨基質に閉じ込められた状態になった「骨細胞」、
石灰化した骨は簡単には吸収されないが、その吸収の働きをする「破骨細胞」の3種類から成ります。各細胞はお互いを突起で結び合い、血液で運ばれてくる栄養を
補給し合っています。リウマチで関節炎が起きると、炎症で骨が吸収されます。これは破骨細胞が現れ、骨を破壊するからです。
骨粗鬆症でもやはり破骨細胞が現れるから、これらの治療には破骨細胞の働きをコントロールすることが必要になります。破骨細胞が骨に付着すると、
付着した側の膝からプロトン・ポンプが働いてプロトンを出し、酸性度があがってペーハー値が3〜4に下がります。
すると、この酸で無機質が溶かされ、たんぱく質が露出し、特殊なたんぱく質分解酵素で骨基質が壊されて骨が吸収されます。
どのようにして破骨細胞が出てくるのかも、最近わかってきました。 (つづく)
|
|
next |
研究トピックスTOPへ
|
|