腰痛・坐骨神経痛
 腰痛・坐骨神経痛は一度発生すると治らないのですか??


 患者さんの大部分の人が、腰痛、坐骨神経痛はいったん発生したら治らないで長く悩まされると者えられている方が多いと思われます。 果たしてそうでしょうか。
 腰痛、坐骨神経痛の原因としてよく言われている腰部椎間板ヘルニアについてこんな報告があります。 腰部椎間板ヘルニアとして診断を受け入院し、保存療法を受けた患者さんを5年後に追跡調査をした報告です。50%の患者さんは症状がなく、 42%の患者さんが症状はあるが、日常生活に支障はないという状態です。症状があって日常生活で困っているという患者さんは8%に過ぎません。 この事実は腰部椎間板ヘルニアで明らかな圧迫所見が存在していても、時間の経過とともに大部分の人は良くなってしまうということを示唆しています。
 また腰痛や坐骨神経痛を経験した50歳以上の整形外科医にその予後を聞いてみた結果があります。発症後、最低5年以上、最高30年以上を経過している方では、 その後発症がない人は23%、症状はあっても障害がない人が68%、症状はあって日常生活上支障がある人はわずか9%です。さらにこれら対象者の腰痛、 坐骨神経痛の症状持続期間をみると、3ヶ月以上続いている人は10%に過ぎません。
 以上の結果は、腰痛、坐骨神経痛の90%は、3ヶ月以内に軽快することが多く、問題となる腰痛、坐骨神経痛は全体の10%程度と考えてよいことを示しています。 ただし、内臓疾患や腫瘍による腰痛、坐骨神経痛の揚合もまれにあたるため専門医正確な診断を受けることが重要です。

                                     医仁会武田総合病院 整形外科医長
                                                  杉本裕宣
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