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便潜血反応が陽性だったのですが、どうしたら良いのでしょうか? |
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便潜血とは、糞便に含まれている肉眼では確認できない血液のことです。現在では免疫法という方法で行われ、ヒトの血液が便に含まれている場合にのみ陽性となります。理論的には、口から肛門までどの部位から出血していても陽性となりますが、大腸癌検診として用いられているのが一般的です。
便潜血反応が1回でも陽性であった場合、精密検査を行うことが推奨されます。これは、便潜血反応検査がかなり鋭敏な検査であるにもかかわらず、大腸に進行癌があってもその陽性率は80%前後であり、早期癌での陽性率は50%にも満たないということがわかっているからです。
精密検査の方法は、バリウムを肛門から入れレントゲンで大腸を撮影する注腸造影検査と、肛門から内視鏡を挿入して直接観察する大腸内視鏡検査があります。
それぞれに長所短所がありますが、内視鏡検査では、直接病変を観察でき、もしポリープや早期癌があった揚合でも切除可能なものは、その場で切除できる利点があります。
便潜血反応が今年は陰性だったので、来年はしなくてよいのではと思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、欧米の研究では、便潜血反応検査を毎年行った人と、2年ごとに行った人では、毎年行った人のほうが大腸癌での死亡率が有意に低かったことが報告されています。また、便潜血反応検査では上述したように、癌があっても潜血反応が陽性に出ない偽陰性も認められます。
以上のことから、便潜血が陽性であったら、主治医の先生に相談し、注腸造影か大腸内視鏡による精密検査を受けてください。何もなくてもその後、毎年きちんと検査することで、大腸癌を早期に発見し、早期に治療することが可能となってきます。
医仁会武田総合病院 消化器科
山内宏哲
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