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正しい耳そうじを教えてください。耳あかは汚いものですか? |
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耳あかは外耳道(耳の穴)の耳垢線というところからでる分泌物で、外耳道の奥の部分にあたる上皮細胞は、外耳道の外側に向って移動し、入り口に近い部分ではがれ落ち、そして耳垢線や耳脂線の分泌物と塵埃等が一緒になって耳あかとして排出されます。
この耳あかが分泌される部位には、細かい毛も生えており、デリケートな外耳道の皮膚を保護しています。また耳あかには「乾性」と「軟性(湿性)」の2種類があり、日本人の耳あかは約80%が乾性の乾いた耳あかで、約20%が軟性のネトネトした耳あかといわれています。
本来耳あかは、咀嚼運動や外耳道皮膚の動きにより、自然に排出できる仕組みになっていて、乾性であれば自然に出てきます。耳あかは、耳の入り口から1センチくらいの所にたまるもので、耳かきを深く入れすぎると、かえって耳あかを奥に押し込んでしまったり、皮膚の敏感な部分を傷つけてしまう恐れがあります。
耳掃除は、入浴の時にタオルで軽く拭くか、綿棒で耳の入り口あたりを軽くぬぐう程度にし、2〜3週間に一度くらいで良いでしょう。あまりこまめに耳あかを取りすぎても皮膚びらん、水性耳だれ、さらにはカビが生えてかゆみが増すなど、慢性外耳炎を引き起こすことにもなりかねません。
耳あかの働きには、
(1)ph5.0前後の酸性になっているので、多少の菌なら殺菌が可能
(2)リゾチームという細菌細胞の細胞壁を破壊するたんぱく分解酵素が含まれており、外から侵入する雑菌から耳を守ってくれる。
(3)脂肪分が含まれており、耳の中に適度な潤いを与え、傷つきにくくする皮脂が出ている。 等があります。
耳掃除は、綿棒を使ってそっと回したり、拭くような感じで汚れを取るくらいで十分です。もし、たまりすぎて取れない時は無理に取らずに耳鼻科で取ってもらいましょう。
医仁会武田総合病院 耳鼻咽喉科 医長
中川 浩伸
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