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子供の頃より風邪をひいたり疲れたりすると右耳から耳だれ出ていたのですが痛みはありません。また右耳は元々聞こえが少し悪かったのですが、最近特に聞こえにくくなったように思います。以前に耳鼻咽喉科で鼓膜に穴があいているといわれたこともあり、このまま放置しておいて聞こえなくならないか心配です。様子を見ていて大丈夫でしょうか? |
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この方の病気は慢性中耳炎と思われます。中耳炎には大きく分けると、急性中耳炎と慢性中耳炎があります。
急性中耳炎は風邪などの急性上気道炎などに合併する痛みを伴った中耳炎で耳漏を伴うこともあります。一方、慢性中耳炎では痛みを伴うことはまれで、風邪や疲労、耳に水が入ったりすると、耳漏を繰り返します。
鼓膜には穿孔があり、中耳や乳突洞という耳の後ろの骨の空洞が慢性炎症を起こしている状態です。病状が進むと鼓膜の穿孔が拡大し、鼓膜と内耳をつないでいる耳小骨と呼ばれる骨が壊れてしまい難聴が進行します。更に内耳にも炎症が波及すると高度の難聴やめまいの原因になります。
治療法は現在のところ完治させるためには手術が必要です。中耳炎の程度により手術法は異なります。鼓膜穿孔だけの場合は比較的簡単で、自分の体の一部である筋膜や結合組織を穿孔部に移植します。耳小骨が壊れている場合は、自分の軟骨やセラミック製の人工耳小骨で、壊れた部分を作り直します。当院では、軟骨と人工耳小骨の良いところを組み合わせた軟骨接合型人工耳小骨を用いており、異物反応も少なく良い成績を収めています。
最後に慢性中耳炎には真珠腫性中耳炎という周囲の骨を破壊しながら進行する危険な中耳炎もあり、耳漏を繰り返している方は必ず専門医を受診してください。
医仁会武田総合病院 耳鼻咽喉科
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