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最近電車やバスなどでよく、「携帯電話は心臓ペースメーカーに影響がありますので電源をお切りください」というアナウンスを聞きますが、携帯電話はペースメーカー
にどのような影響を与えるのでしょうか? |
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JR西日本では、携帯電話の電波が心臓ペースメーカーや植込型除細動器などに及ぼす影響を心配する声が高まっているとして、混雑した電車内での携帯電話の使用を平成12年10月1日から禁止しました。その頃から少しずつこの活動が広がり、多くの交通機関等で携帯の電源を切るようにというアナウンスが聞かれるようになりました。
携帯電話の電磁波がペースメーカーや植込型除細動器に及ぼす影響とは、それまで正常に働いていたペースメーカパルス出力が抑制されて、一時的に停止してしまい、ペースメーカが心臓を刺激しなくなる場合があります。また電磁波をペースメーカーが心臓の拍動と誤認して数えてしまう非同期ペーシング(心臓の自発興奮があっても刺激を出し続ける)などの影響があります。
医療機器メーカーでつくる「ペースメーカー協議会」(東京)などによると、携帯電話は電源スイッチが入っている限り、たとえ呼出し中や通話中でなくとも、携帯電話の基地局へ電波を出すことがあり、その電波は常に一定の強さというわけでなく、その携帯電話のおかれている場所や状態に左右されます。電波が弱い場合やペースメーカとの距離が離れている場合には影響は出ません。電源が入っているだけで電磁波が出ており、携帯電話から22センチ以内ではペースメーカーが誤作動する可能性があるそうです。
ペースメーカーの利用者は全国に約三十万人。かつては高齢者がほとんどでしたが、最近はサラリーマンなども増え、通勤ラッシュ時に体の不調を訴える人も出てきているといわれています。
携帯電話の電源を切るといったマナーは、混雑した車内での一人一人の「他人に対する思いやり」です。電車やバスなどに乗る場合は必ず携帯の電源を切るように心がけてください。
医仁会武田総合病院 不整脈科 部長
池口 滋
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