アトピー性皮膚炎について
 1歳6ヵ月の子供のことでおたずねします。生後まもなくより湿疹があり、ステ□イド軟膏による治療を受けていたのですが、だんだんひどくなり、小児科で血液検査を受けたところ卵アレルギーの関与したアトピー性皮膚炎と診断され、指示通り卵料理をやめたところかなりよくなりました。卵アレルギーと診断されたのに、牛乳、大豆もやめるよう指示されている方があると聞きました。牛乳、大豆もやめればもっと症状がよくなるのでしょうか?また、今妊娠中の次の子がアレルギーにならないように、今から私が卵や牛乳をとらなし、方がよいのでしょうか?
                                                Aさん(30才・主婦)


 除去をする食品の種類が多い方が症状が軽快しやすいということは決してありません。1歳6ヵ月という年令を考えますと、今後、新たな食物アレルギーが成立する可能性は低く、症状に関係のない食品は除去する必要はなくアレルゲン以外の食品は厚生省の1日30品目を目標にできるだけ多く05種類を摂取していただく方が、アトピー性皮膚炎の軽快のためにも好ましいのです。
 また、乳児とは異なり、1歳6ヵ月では、卵に関しても、主治医の先生のおっしゃる通り、卵料理(卵の量が多いという意味で)を避けるのみで充分である可能性が高いと考えます。主治医の先生を信頼されて治療を続けられれば、おそらく2歳ころまでには、卵料理も充分に加熱さえすれば症状をおこすことなく食べられるようになるでしょう。
 妊娠中の食事については、妊娠後期よりの除去がいわれていましたが、私どものデータでは、妊娠中の食事は授乳中に比べて影響が少ないことがわかりました。卵の除去は生活習慣病の予防となりこそすれ、栄養状態に悪影響を及ぼすことなく弊害はありませんが、普段より多くのカルシウムを必要とする時期に最も吸収の良い形で含む牛乳の摂取をやめることはマイナス面が大きいと考えます。妊娠中の食事はバランスよく多くの食品をとるのがベストで、卵は良く力□熱し、とりすぎないこと、授乳中には卵の摂取をやめるのも一方法ですが、症状が出現した時点でアレルギー専門医を受診され、適切な指導を受けられれば十分に良い経過を辿ることができます。

                              康生会 武田病院  小児アレルギー科部長
                                                  伊藤 節子

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