健康栄養インフォメーション


◇◆ 指先がしびれ、言葉が出ない ◆◇

考えられる原因 ◆ 出血性梗塞
 Oさんは百貨店に勤務する46歳のサラリーマンだ。大病の経験はなく、ゴルフも人並みの腕前で、健康そのものと自負している。 身長168センチで体重が95キロと親譲りの肥満体だが、気にしたことはない。
 ある日のこと、夕方のお客で店が混雑し始め、緊張感が高まってきたとき、突然右手の指先がしびれ、感覚がわからなくなった。 売り場責任者が定時報告のため話しかけてきたのに、口がもごもごとして思うように言葉が出ない。けげん顔の責任者に「わかった」というそぶりでオーバーに左手を振って、 その場をあわてて離れた。
 立ったり歩いたりには支障はなかったが、何かたいへんな病気ではと不安に思い、その足で会社の診療所を受信。正確な症状を告げなかったので「血圧が高いよ」 とだけいわれ、薬をもらって退杜した。就寝前には右手のしびれと話し方はやや改善し、ホッとした。
 翌日は通常どおりに出勤、時問をつくって病院に行ったのが発症して3日後のこと。不思議な体験を医師に話すと、ただちに採決・検査された。高血圧と糖尿病のほか、 コレステロールと尿酸値が高く、さらに軽度の腎機能障害もあるという。脳のコンピューター断層撮影で小さいが出血性梗塞と診断された。「3日も放置していたのに、 よくぞ出血が拡大しませんでしたね」と妙に感心され、ただちに入院となった。
 入院後、血管のエコー検査で60代並みに動脈硬化が進んでいると指摘され、Oさんは一瞬にして老け込んだ気になった。口やかましそうな女性看護師長さんからは 「生活態度が悪い」と強く注意される。考えてみれば、職責上夜遅くまで仕事をし、食事は不規則・簡便が常で、アルコールも人並み以上、タバコは日に30本。これに高血圧、 糖尿病、高脂血症、肥満、腎機能障害が加わっているのだから、「動脈硬化の見本」のような人物である。
 あれこれ注意され落ち込んだものの、徐々に体力は回復、入院2週目には元気な体に戻った。「これでまた今まで以上に働けます」と白信を深め、 若い女性看護師さんにしかられる懲りないOさんであった。



高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満は「死の4重奏」といわれる。腎機能障害が加われば5重奏である。 このギャング団を打ち負かすには生活習慣の是正がなによりも有効だ。
『「痛い」「だるい」は生活習慣病のサイン』 西沢良記 講談社+α新書より

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