血液中の尿酸濃度が高くなって関節炎を起こすが、問題は関節だけにとどまらない。というのはこの高尿酸血症と動脈硬化との深い関係が
指摘されているためである。
40歳以下で心筋梗塞を発症した男性患者には高尿酸血症が多いことが知られる。ある報告では2789人の心筋梗塞患者を2年間観察したところ、一般の人の尿酸値5.9ミリグラム
に対し、患者群は6.9ミリグラムと明らかに値が高かった。また、尿酸値が高い人ほど死亡率も高かった。
別の報告では、111人の高尿酸血症の人を9年間観察し、このうち5.4パーセントで虚血性心疾患の発症を確認した。これは一般人の10倍に上るという。この分野では有名な米国の
フラミンガム大規模研究と呼ばれる調査でも、痛風患者の虚血性心疾患発症率は18パーセントと一般より約2倍高率であるとしている。
高尿酸血症と動脈硬化との関連については、血液中の尿酸塩結晶によって白血球や血小板が刺激され、種々の化学作用物質を産生・放出して血管障害を起こすと説明されている。
もっとも、痛風や高尿酸血症の人は肥満や高血圧、高脂血症を高い確率で合併しているため、高尿酸血症が動脈硬化の独立した危険因子であると断定するのは難しい面もある。
痛風の予防は、原因となる尿酸の原料が動物や魚の筋肉に含まれる核酸成分であるので、肉食に偏った食事を避け、乳製品、野菜類、穀物類をとることである。
また、尿酸の合成を抑制したり、尿酸の排泄を促進したりする薬剤を服用することで血液中の尿酸を下げることができる。
痛風にはアルコールは厳禁である。最近の研究ではビールの苦み成分であるイソフムロンという物質には尿酸の排泄を抑制する作用があり、高尿酸血症を悪化させうるという。
逆に、緑茶に含まれるカテキンは尿酸合成を抑制するので痛風にはよいともいわれている。
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