友人のY氏が突然、電話をかけてきた。ゴルフのラウンド中に左足にけいれんを起こしてびっくりしたという。
猛暑のなかのゴルフとはご苦労なことであるが、しばしば見受けられるアクシデントである。
高温による障害は「熱けいれん」と「熱疲労」と「熟射病」に分かれる。熱けいれんや熱疲労は一時的で比較的軽症だが、熱射病は急激に発症し、重症である。
熱けいれんは激しい運動を行った後に、一時的に激しい痛みを伴った筋肉のけいれんが起こる。ゴルフでよくあるのは軸足になる脚のふくらはぎのけいれんである。
健康な成人男性によく見られ、数分から十数分程度で自然に解消する。
熱疲労は水分と塩分の喪失により起きる。猛暑でのスボーツや労働で大量に汗をかくと発症する。のどの渇き、倦怠感、耳鳴り、吐き気、顔面蒼白などの症状が出る。
治療を受けないと、体温が上昇して意識障害が起きることもある。多量に発汗したときに水分をとるだけで、塩分をとらないと起きる。
Y氏のふくらはぎのけいれんは多量の発汗が引き金になっているが、疲労感やめまい、嘔吐、頭痛など全身症状を伴わなかったので熱けいれんである。
熟射病は高齢者や病弱な人によく見られる。はじめはたくさん汗をかくが次第に発汗がなくなり、体温が急激に上昇して40度くらいになり、
血圧上昇や意識障害など全身的に重い症状が出てくる。日射病は日光の直射を頭や首の後ろに受けて、体温調節中枢が機能しにくくなって起きるが、熟射病と同一の病気だ。
治療は軽症なら涼しい場所で安静にし、水分や塩分を十分にとることである。ただ、重症のときは生理食塩水やブドウ糖の点滴などが必要になる。
Y氏の場合は手馴れたキャディー嬢がつくってくれた食塩を少し入れた特製の冷たいお茶でしのげたという。
Y氏は睡眠不足で出かけたらしい。熱けいれんを予防するには睡眠、休養、栄養などの健康管理に十分気をつけることが大切である。
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