新しい時代に入った急性心筋梗塞治療

【急性心筋梗塞とは?】
 急性心筋梗塞(AMI:Acute Myocardial Infarction)は、ご承知のように発症しますと死亡する危険の高い恐ろしい病気です。 もちろん、環境の変化や肉体・精神状態の変化、脱水などでいきなりこの状態に陥ることもありますが、多く(6〜7割)は、①新しく狭心症の症状がでてきた、 ②今までの狭心症の回数や発作時間が上昇し悪化してきたといった前段階(=不安定狭心症)をへてAMI発症に至ります。 このような状態を急性冠症候群(ACS:Acute Coronary Syndrome)といいますが、心臓に栄養を送る冠動脈に血栓が出来、動脈硬化性病変と相まって詰まりやすくなります。 血栓は最初はどろどろの状態ですが次第に硬くなってきます。そのためこのようなAMIに陥りやすい危険な時に症状を我慢して仕事や労働をしたり、 脱水になったりしますと冠動脈は詰まってしまいます。そして心筋細胞の虚血や壊死による危険な不整脈や心破裂により急死するといわれています。 特に発症して1,2時間以内にこのような危険な状態に陥りやすく、数十分以上症状が続けば循環器専門医の受診をおすすめしたいのはこのような理由からです。
 現在では循環器専門病院においてはその検査や治療法が格段に進歩し、患者様にやさしくかつ有効に出来るようになっています。 したがって心筋梗塞が起こる前段階で見つけることはいうに及ばず、発症してから数時間の早期にこのような治療を行いますと以前の活動能力が保持されます。 大切なことはそのような症状がでてくれば医師に相談すること、症状が数十分以上も続くようなら循環器専門病院に急いでかかることです。 循環器専門病院にたどり着きさえすれば、AMIといえども95パーセント以上の救命率になります。
【急性心筋梗塞急性期治療は?】
 循環器専門病院におけるAMIの治療はつまったり、血流の悪くなった冠動脈をきれいに流れやすくすること(再疎通療法)で、 この治療により①急性期死亡率の低下、②心機能の維持改善、③長期生命予後、生活の質(QOL)の維持・向上が期待できます。 冠動脈の狭窄部位(動脈硬化でコレステロールがたまり血液が流れる部分が細くなったところ)を広くすることとそのあたりに存在する血栓を取り除く治療が主となります。 数年前まではどろどろの血栓の治療は非常に困難で、治療により逆に血栓を増やしてしまったりすることもまれにはありました。
 初期には血栓溶解剤による治療からバルーンによるdirect PTCA(1984〜)になり高度な狭窄を残さない治療へ、 さらにステントを迫加留置するprimary stenting(1996〜)により広い内腔が得られ、その後の再狭窄、再閉塞が減少しました。 しかしこれらはいずれも血栓を含む狭窄病変の内腔拡大手技で、病変部位の再閉塞は著減しましたが、血栓が流れてその先につまってしまったりする危険は依然みられました。 しかし最近では血栓吸引カテーテ(RescueTM)や末梢保護器具(PercuSurgeGuardWireTM)が使用可能となり、治療に難渋する血栓や柔らかい動脈硬化を吸引し、 心筋細胞にやさしい血行再建を行い良好な成績をあげています。冠動脈内カテーテル治療の発展に伴い、AMI治療もその両者(動脈硬化と血栓)を処理しようという、 より精度の高い急性期再疎通治療へと進化しています。その結果、AMIが軽症ですみ、多くは発症以前と同じ様なアクティビテイーで生活を送ることが可能です。
【やはり予防が大事!】
 そうはいってもAMIにならないことが一番の治療です。過栄養の是正、適度な運動、断煙、ストレスの上手な受け止めかたなど目頃より気にかけたいものです。 また先ほど閉幕しました世界水フォーラムでも提唱されました"きれいな水を確保する"ことは水から派生した生命にとっては重要なことであり、 十分にきれいな水分を摂取することもその予防につながると思われます。武田ヘルスネットクラブの目指すところもそのあたりにあると思われ、 ぜひこのヘルスネツトクラブをご利用していただき、生活習慣病の予防にご配慮していただければと思います。

                                   康生会 武田病院 循環器内科 部長
                                                     上田欽造

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