子どもの神経疾患とは? |
小児神経外来とは、どんな外来かご存知でしょうか? 最近小児科も専門性を持った特殊外来が増えています。アレルギーや循環器といった誰にも解りやすい科と異なり、 ちょっと何をしているのか解りにくい科かもしれません。まずは、そのご紹介から。小児神経外来の範囲を個別にあげてみます。 1.発達 : 生まれてから成人に達するまで、子供は発達していきます。正常発達から、発達上の障害を持った子供まで、診断や発達上のアドバイスなど、幅広いニードがあります。 発達上のご心配、たとえば、首の座りが遅い、歩くのが遅い、言葉が遅い、友達と上手に遊べない、などなど。正常のバリエーションもありますが、 中には自閉症や特殊な発達障害が発見される事があります。年齢に応じた適切な発達診断を行う事が必要です。 2.けいれん性疾患 : 子供の3から5パーセントにみられる熱性けいれんや、泣き入りひきつけなど、疾患というより、子供の脳の発達の未熟性によるものもありますが、 てんかんも小児期に初発する事が多い病気です。治療は抗けいれん剤による薬物療法が主体となります。抗けいれん剤の進歩で、 てんかんの発作の多くは投薬でコントロールする事ができます。慢性の病気なので、治療期間は数年かかりますが治らない病気ではありません。正しい診断や薬物の選択に、 脳波検査や血液検査、CT、MRI、場合に依ってはRIを使った検査が行われます。ほとんどの子供は、薬での治療でまったく普通通りの生活が送れ、薬も一生飲む必要もありません。 また、難治のてんかんでは、近年脳外科的な手術療法も行われるようになってきました。 3.先天奇形や染色体異常 : 多くは、新生児期や乳児期に診断されています。(あとから、発達上の問題で診断される事もありますが)ご家族にとってはショックな診断をうけて、 どうしたら良いか混乱のさなかにあるはずです。治療可能な奇形もあります。あるいは、少しでも障害を軽減するためのリハビリも関連の宇治武田病院で 小児の専門トレーニングを受けた訓練士が行っています。家庭状況や、子供さんの状況に応じて、訪問看護の利用も可能です。 当院では、気管切開を受けた子供さんや人工呼吸器をつけた子供さんが利用しています。 4.運動障害 : 脳性麻痺に代表される小児の運動障害は、いったん獲得した機能をなんらかの疾患で失った成人と異なり、障害によって獲得し得ない機能や、 異常な運動パターンを、少しでも正常に近いパターンで新たに獲得できるよう行われるため、専門の訓練士が必要です。宇治武田病院では、ボバース法による理学療法や作業療法、 摂食訓練、言語訓練などを行っています。子供さんの身体状況に応じたさまざまの舗装具の指示、アドバイスも行っています。京都市近辺で小児のリハビリを受けられる数少ない施設と して他院からの紹介も増えてきています。 5.重症心身障害児 : いくつかの障害を併せ持つ重度の子供さんでは、日常の健康管理も並大抵ではありません。 経管栄養や吸引などまるで看護師のような行為を家族や学校の先生が行わざるを得ません。最近は、気管切開、胃ろうなどの外科処置もQOLを高める目的で行われる事が増えています。 それらの処置、術後のケアの指導なども欠かす事のできない分野です。 6.神経筋疾患 : 筋ジストロフィーや脊髄性筋萎縮症のような進行性の疾患では、QOLを保つための援助が必要です。また、これらの病気は近年遺伝子学的な診断が進んできており、 診断のみならず、遺伝相談の範囲まで、適切な他の医療機関と連携を取って行う事が可能です。 7.心身症 : 登校拒否、摂食障害など近年増加の一途をたどっている疾患です。当院では、神経外来とは独立して、小児心身症外来を設けています。 当院の神経外来の中心はけいれん性疾患ですが、今後さまざまの職種の協力を得ながら、今までにあげた幅広い範囲をカバーしていきたいと考えています。 医仁会 武田総合病院 小児神経科 部長 越智 純子 back |
Copyright by Health & Nutrition Information 2001-2005 |