結核・・・人と微生物・・・ |
約40億年の歴史を持つと一言われる地球上の生命体は現在8000万種に及ぶらしい。 従って、当然であるが、その生命体の一種であるわれわれ人類(ヒト)は他の生命休と共存関係にある。60兆個の細胞からなる私達の肉体は気の遠くなるような年月と進化の過程を経て現在がある。私達は400〜500万年前に現在のチンパンジーと分かれ、今日のヒトになったと言われる。 40億年の歴史をきざむゲノム解析の最近の知見からは、両者の遺伝子の差はわずか2%前後らしい。ヒトは決して特別な存在ではないのである。微生物との関係も直接目に見えない存在ではあるが運命共同体であることに変わりはない。食品を見ても醤油、酒、味噌、納豆などお世話になっているものを数えれば限りがない。 食物の消化の面でも100種類、100兆個の微生物が私達の消化管に存在し、消化を助け、宿主である私達と共存共栄していると言う。 しかしこれらはその微生物が感染しているとは言わない。私達は微牛物、細菌、ウイルスなどを全て悪い生命体、危険な生きものと決めつけたがる傾向がある。 地球上の自然は動物、植物を含め全ての生命体のバランスの上に成り立っている。全て私達の仲間なのである。その中で限られた微生物がわれわれ人類との平和な共存を拒む時がある。いわゆる病源体である。しかし感染症は微生物の側の条件のみで発症するとは限らない。私達の生活環境に常在し通常は何の害も及ぼさない微生物でも、われわれの体力(免疫力)の低下した時には病源体となり得るのである。 最近マスコミでよく騒がれるMRSAなどがその例である。結核菌は紀元前から人類と共に地球上に存在していたようで、ミイラからもその痕跡が認められている。今日人類の約1/3の20億人はすでに結核菌に感染していると言われる。そして毎年800万人が発病し、300万人が死亡していると言う。しかし感染症は人と微生物との力のバランスが崩れた時に発症することは前述した。結核は空気・飛沫感染するが、感染した者全てが発病はしない。既感染者(現在目本では20才で1.3%、50才で23%、70才で65%と言われる)で咳、疾、発熱が2週間以上つづく時は発病の可能性があり専門医療機関を受診する必要がある。 社会福祉法人 青谷福祉会 特別養護老人ホーム ヴィラ山科 施設長 池田 宣昭 back |
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