日帰り手術について

 米国では全手術症例の70%以上が日帰りで行われている。わが国と比較して日帰り手術の比率が非常に高いのは、保険制度の違いによるところが大きく、患者さんの希望とは関係なく、日帰り手術が推し進められてきた側面がある。退院した後、病院の近隣のホテルに滞在し、通院が行われている場合もある。しかし、日帰り手術は患者さんにとって良い面もある。仕事で忙しく早期に会社復帰を行いたい人、小さい子供さんを抱えた母親、自宅で療養を希望する人、なれない環境により混乱を起こす可能性がある高齢者、などにはよい方法である。さらに、患者さんの経済的負担も軽減できる。
 日帰り手術を行うには、手術を迅速に確実に行える高い技術が必要であり、痛みを軽減させる手術方法や術後の処置に工夫を要する。医仁会武田総合病院では平成10年9月より日帰り手術を開始している。日帰り手術の対象は①日帰り手術を希望、②他に病気がない、③退院後に家族のケアが得られる、④病院から自宅まで車で約一時間以内である、を満たす患者さんとしている。外科では腹腔鏡胆嚢摘出術、ソケイヘルニア(脱腸)手術、痔の手術を日帰りで行っている。
 外科以外では、手根管手術、子宮内膜焼灼術、不妊手術、白内障手術、下肢静脈瘤手術などが日帰りで行われている。
 日帰り手術を行うには、手術前検査、麻酔科受診、病棟での説明、さらに事務手続きをあらかじめ外来ですませておく。当日朝8時に直接病棟に入院していただき、9時から手術を開始している。夕刻まで経過を観察し、歩行・食事が可能、疼痛が軽度である、創は特に問題はない、などを確認して退院としている。
 外科では平成14年6月までに翌日退院を含め、308例の日帰り手術を行っている。その内訳はソケイヘルニア138例、痔核手術86例、腹腔鏡胆嚢摘出術84例である。また、平成14年1月より6月までの期間で、日帰り手術の割合をみると、ヘルニア手術では42例中16例38%(ただし小児では90%以上が日帰り)、痔核手術52例中19例37%、腹腔鏡胆嚢摘出術120例中23例19%が日帰り手術(翌日退院を含む)となっている。
 日帰りを行ったための問題は特には生じてない。再入院したのは、痔核手術後に肝機能障害をきたした一例のみである。また、退院後のアンケート調査では約3割の患者さんに退院時の不安感があったが、治療を終了した時点では8割の人が、日帰り手術の点数をつけるとすると、80点以上であると答えている。
 日帰り手術は上記のような利点があるが、健康保険制度の変更による患者さんの経済的負担の増大を軽減する方法として、今後より重要なものとなる。

                                       医仁会武田総合病院 副院長
                                               外科 加藤仁司

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