痴呆にならないための心得

 ひとは年齢を重ねてくると、誰でもある程度、物忘れや勘違いが多くなってきます。このような現象はほとんどの場合、年齢的なものです。しかし、痴呆となると話はまったく別です。著しい物忘れ、時や場所などを間違える見当識障害、現実にはありえないことを言う妄想、幻覚などが起こり、日常生活がスムーズに行えなくなるのです。では、どうしたら痴呆にならないのか、あるいは、なりにくいのかについて考えてみますが、その前に痴呆にはどういう種類のものがあるのかみてみましょう。
 ●痴呆の種類について●
 痴呆には、主に、脳梗塞、脳出血などによって起こる脳血管性痴呆、今のところ原因が不明ですが脳細胞が異常に早く死滅して起こるアルツハイマー型痴呆、そして、寝たきりなど長期間、脳を使用しないことによって起こる廃用性痴呆があります。そのうち、脳血管性痴呆は、脳梗塞、脳出血などの脳血管障害そのものを起こさないようにすることによって防ぐことができます。アルツハイマー型痴呆は、現在のところ根本的治療法はありませんが、頭や体を活性化することによって進行を遅らせることができます。廃用性痴呆は常に頭や体を使うように努力することによって予防することができます。 では、具体的にどのようにすれば痴呆にならない、あるいは、なりにくいのでしょうか。
 ●予防について●  
①痴呆につながる病気にならないようにする。
 日本で一番多い痴呆が脳血管性痴呆です。肥満、高血圧、糖尿病、喫煙、家族歴などが脳出血、脳梗塞を引き起こす大きな要因(危険因子)となります。これらの危険因子をなくす為には、適量の運動、食生活の改善(塩分制限、肥満の防止など)、禁煙、高血圧や糖尿病に対する正しい治療が極めて重要です。食生活については、魚と野菜—特に香野菜(ニンニク、ネギ、タマネギ、ホウレンソウ、トマト、セロリ、シシトウ、ニラなど)には血液の流れをよくする成分が多く含まれています—を主体とする食事にするとよいでしょう。
②頭と体の活性化をはかる。
 ひとは年齢を重ねると、特に病気があるわけでもないのに、何となく体がしんどい、もう一つ気力が出ないなどの体の変調がでてきます。しかし、その時にこそ、健康を維持し、頭の働きを落とさないようにするという気持ちと、それを持続する強い意思が非常に大切になるのです。もう亡くなられましたが、きんさん、ぎんさんがボケかかってきた時、毎日の厳しい体力・筋力トレーニングによってボケが回復し、元のようにしっかりされてきたということをご存知の方も多いことと思います。このように年齢がゆけばゆくほど、むしろよく運動し、よく頭を使うということこそが痴呆になるのを防ぐ最も効果のある方法といえます。それでは、どの程度のことをしてゆくとよいのか見てみましょう。
 【運動】
 毎日の基本的な運動(歩く…1万歩以上/日)と週1〜2回の比較的はげしい運動(1〜2時間の水泳、筋力トレーニング、マラソンなど)の組み合わせ。
 【感覚】
 良く聞き、良く見、よく読み、良く話し、よく噛む(一口で30回以上噛む)。
 【社会生活を続ける】
1. 社会奉仕など社会参加を続け、一人で閉じこもらない
2. 趣味を持つ。仲間をもつ。
3. 心と気持ちを柔らかく持つ。心と気持ちが固いほどボケがひどいし、はやくきます。
 以上のことをできる範囲から少しずつでもやってゆきましょう。最初はしんどくても、少しずつの積み重ねで体は必ず調子がよくなります。それが痴呆の予防にもなっているのです。 頑張りましょう、自分のペースで。

                                     康生会武田病院 神経脳血管センター
                                                    部長 八木 秀雄

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